入院生活が長くなると、限られた空間の中で、時間をどう過ごしたらいいかと考えるようになりました。
そんなときに出会ったのがこの本です。

『はじめてさんの水彩色鉛筆Lesson 超初心者編』(杉原美由樹・マール社 2016)
はじめてさんの水彩色鉛筆Lesson 超初心者編 –
まえがきから引用します。
「入院中、気付いたことがあります。人って自分の先が見えなくなった時、思い悩み、落胆して無気力になってしまう人と、だったら今をしっかり生きようと意欲的になるということを。そして自分で答えを出すには生物をじっくり見つめることがとても役に立つということも。
いつも同室になった方々には色鉛筆で絵を描いてもらいました。もちろん、皆さん最初はイヤがります。が、描き始めたらスゴいんです。」
著者の杉原さんは3度の開腹手術と2度の出産経験から、病気で入院している方に絵の楽しみを教えたい、水彩色鉛筆という、コンパクトで便利、水筆1本で多彩な表現ができる画材を広く知って欲しいと、綴られています。
最初はわたしには絵を描くことなんて無理だと思っていましたし、杉原さんのイラストがすてきで本を見ているだけで満足していました。
ちょうどこの本と出会ったころは、24色の油性色鉛筆で大人の塗り絵ができるまで体調が回復してきていました。ですが、だんだん塗り絵では物足りなくなっていたのかもしれません。
杉原さんは、水彩色鉛筆で水を使わないドライ、描いた後に水筆を使うドライ+水、完全に顔料を水で溶いて水彩絵の具のように使うウエットの技法を紹介しています。
超初心者編とありますが、丁寧な説明は上級者の方にも新鮮だと思いますし、書かれているレッスンをきちんと練習していけば、絵を描くのは学生時代以来だわというわたしのような初心者でも頑張れば描けそうと思わせてくれる、親切な編集になっています。
さらに、下絵を油性色鉛筆や油性マーカーなど異なる画材で描いたときの印象の違いや、水彩色鉛筆やスケッチブックの選び方などいたれりつくせりです。
入院中のお友だちや絵を描くのが好きな方へのプレゼントにピッタリな本です。
あと、この本で初めて知って感動したのが水筆です。水筆が1本あれば、病院の狭いテーブルの上でも、場所を取らず、筆を洗うときはティッシュペーパー1枚で簡単だし、手も汚れません。

そうしているうちに、ある水彩色鉛筆がどうしても欲しくなってきました。それが、ドイツSTAEDTLER社のKalat Aquarell 36色です。
ステッドラー 水彩色鉛筆 カラトアクェレル 125 M36 36色 –
お高い!
でも数ヶ月悩んでついに買ってしまいました!
杉原さんがおすすめの水彩色鉛筆とは違うのですが、数社ある水彩色鉛筆を比較して、この製品にして良かったです。
わたしにとって『はじめてさんの水彩色鉛筆』という本との出会いが、今できることを少しずつ増やしていく第一歩になったのです。
