豊洲市場の都民見学会リポート2回目です。前回の管理施設棟と水産卸売場棟は豊洲でいう7街区にあります。7街区には他に冷蔵庫棟、通勤駐車場棟、容器業者倉庫棟、リサイクル施設棟(廃棄物集積所)があります。水産卸売場棟は5階建てで、主な用途は、1階が卸売場、活魚売場、2階がうに卸売場、3階が塩干卸売場、4階が転配送センター、5階が事業者のオフィスになっています。
管理施設棟の3階からスロープで水産卸売場棟の2階につながっています。2階は見学ギャラリーになっていて、過去に取引された最大級のクロマグロの模型があったり、競りを行うときの「手やり」の解説パネルなど、見学者が楽しめる展示があります。
水産卸売場棟
マグロの競り場
東京都「見学者デッキからは来場者が自由に競りの様子を見ることができます。売り場のほうは10.5度まで温度を下げることが想定されていまして、こちらの廊下との温度差が生じることから、二重ガラスとなっております。また、正面の壁には殺風景な雰囲気を和ませるために風呂敷などで用いられる伝統的な江戸文様をデコレーションしております。模様が4種類ごさいまして、春夏秋冬を表しております。春が桜、夏が波、秋が菊、冬が雪です」
東京都の説明が面白かったのでガイドの言葉をそのまま引用します。写真上部中央の縦縞模様に見えるところに江戸文様があしらってあるというのです。でも「マグロの競り場の殺風景な雰囲気を和ませるための江戸文様」って、今は何もないから殺風景ですが、皆さん競り場に並んだマグロを見に来るのだから、壁の装飾では和まないんじゃないかな。
1階脇の見学ギャラリーへ
東京都「競りの様子を至近距離で見ることができます。ガラスの上部が空いていますので、温度や匂い、競りの掛け声など臨場感をもって体験していただける構造となっております」
見学者VIP席って感じですね。見学コーナーの運用について詳しいことはまだ決まっていないそうです。
いよいよ1階のマグロの競り場に降りてみました。
上部に並んでいるの正方形の窓が2階の見学コーナーになります。導線を分けたことで、外国人観光客が競り場に入り込んでマグロを触ったり競りの邪魔をするのを防げます。
マグロの競り場の床が緑色なのは、マグロの赤色が映えるためで、事業者からの要望に応えたそうです。マグロ以外の鮮魚の競り場は周囲のコンクリートと同じ床の色です。水を使うので床に100度の傾斜をつけたり、柱の底部にカーブをつけて水はけを良くしたりと細かい配慮がされています。
競り場の排水蓋やマンホールに錆?
排水溝に錆のような汚れがあります。1年放置されているとは言え、まだ開場前で新品なのに排水蓋って錆びるんでしょうか? 排水蓋の汚れは複数見うけられました。競り場の隣にあるマグロの解体場でも見られました。不思議です。もちろん錆のような汚れであって錆ではないかもしれません。何なんでしょう?
同じく、競り場のマンホールにも錆のような汚れがあります。マンホールって錆びるんですか? 競り場のマンホールは非常に凝っていて、事業排水は「魚河岸」、生活排水は「目利き」、厨房排水は「粋」と、中央に彫られていて用途がわかるようになっています。もちろん、まっさらできれいな排水蓋もマンホールもあります。この錆のようなものが発生しているのは一部です。原因はわかりません。
排水溝とマンホール。
荷捌き場
トラックの荷捌き場にやってきました。トラックターミナルでトラックを停めて積み下ろしを行う場所です。このトラックバースは2種類あります。
(1)ロックシェルター構造
トラックが荷台の後部扉を開けて密閉された状態で荷物を売り場に搬入できます。冷凍マグロなどの荷下ろしに使います。
(2)プラットフォーム構造
高床式トラックバース。荷下ろし口が舞台のように一段高くなってトラックの荷台の高さに合わせてあるため、段差がなく迅速に運び込むことができるようになります。
荷捌き場の入口は普段は閉まっていてターレや人が近づくと自動で開き、上から冷たい空気が流れてきて売場との温度差が出ないようになっているそうです。また、駐車場にはエンジンを切ってもコンテナを冷蔵でき、アイドリング対策にも役立つ電源装置が何台もありました。その他にも車体番号を電光掲示板に表示できたり、ITを導入した「効率的な物流」を可能にしています。
トラックにやさしい物流設備が豊洲市場の大きな目玉なのかもしれません。