がん治療

CVポート奇譚【第一章】

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 1月28日(月)から化学療法とCVポートの交換手術のため入院しました。昨年の1月に入れたCVポートから点滴漏れが起きてしまい、手術で古いポートを取り出して、新しいポートに入れ替える必要が生じたのです。手術は局所麻酔で行われ、翌日から早速使えるということで、いつもの2泊3日から、手術日1日を加えて3泊4日の予定でスケジュールを組み、その期間うちの親はショートスティにあずけ、うちの犬にはペットシッターさんをお願いしました。完璧と思われた計画でしたが、思わぬ落とし穴があったとは、このときには誰も想像すらできなかったのです。

CVポートとは

 抗がん剤の点滴を続けていると、だんだん血管がもろく細く疲れてきます。CVポートは体の中に点滴の針を刺すための土台を作るようなものです。500円玉より小さい本体部分と、静脈につなげるカテーテル部分とがあり、これを皮膚の下に埋め込む手術が必要です。ですが、一度埋め込んでしまえば、外見からは胸の上にちょっとしたでっぱりがあるかな程度にしか見えませんし、針を刺すときの痛みもほとんどありません。
 
 点滴をしたことがある方は経験されているかもしれませんが、なかなか点滴の針を刺す場所が決まらなくて、何度も腕に刺されたり、手の甲に刺されて痛い思いをしながらの点滴に耐えなければならなかったり、腕の向きや曲げ方によって点滴の落ち方が悪くなったり、点滴が漏れて腕が腫れ上がったり、点滴中は意外といろいろなトラブルがあるものです。それがCVポートによって格段に軽減されます。
 
 わたしは長期化学療法の患者さんにCVポートをお薦めします。

なぜCVポートの入れ替えをすることになったのか?

なんとなく万能感のあるCVポートなのですが、わたしの場合これが壊れました。手術をしてくださった先生も初めての経験だと仰っていたくらい稀な例らしいのです。昨年末の化学療法1日目で、デカドロンの点滴中に体の中のカテーテルに穴が空いて漏れ出し、首が腫れ上がってしまいました。
 
 このときは、抗がん剤じゃなくてよかったねー、という感じで腕からの点滴にすぐ切り替え、事なきを得ました。
 
 改めて外科のドクターがレントゲン写真をもっていらして、「おそらく一番上のカテーテルの曲がりが急なところがもろくて穴が空いたと思う。このポートはもう抗がん剤には使えないから、取り出して、左側に新しいのを埋めましょう」と仰いました。

 写真の赤丸の下の方に〇▽が重なっているのがCVポートの本体です。ここからカテーテルのチューブがいったん上に波を打つように上がっていって、先端は心臓近くの静脈に達しています。点滴をするときはこの〇の中に針を刺すだけです。漏れたと考えられるのはこの写真の上部で切れてしまっていますが、カテーテルがПこんな感じで曲がったところと考えていました。

いよいよ入院の日を迎えました。朝10時に入院、午後手術の予定です。わたしはこれまで6回全身麻酔の手術をしましたが、局所麻酔は今回が初めてです。先生たちの声が聞こえるのは怖いなーと思っていたら、だんだん緊張してきました。今までにない恐怖みたいな。何かの予感だったのでしょうか。誰かがわたしに教えようとしてくれていたのでしょうか。
 
 看護師さんに付き添ってもらって手術室まで歩いて行きました。手術前の準備がわたしは苦手です。いつも、早く麻酔効いて! と願いながらオペ室の時間をやり過ごし、気がついたときにはオペ終了というパターンです。それが今回は手術中ずっと意識がある……マジ怖い。せっまいオペ台に上がって心電図やら血圧計やら、抗生剤の点滴につながれて、いよいよ胸の上に消毒液がペタペタと多めに塗られているその瞬間、執刀医の大きな声が聞こえました
 
 「あっ、うそ! 手術中止!」
 
 そこにいる一同呆然です。
 
 「手術中止」
 
 もちろんわたしには何がなんだかわかりません。執刀医から小さなレントゲン写真を渡されて説明してくれました
 
 「いいですか、この写真を見てください。これがCVポートです。この先のカテーテルが断裂して、心臓の横の血管の中に落ちています。これは外科の手術では取ることはできません。いいですか。これからわたしが、循環器の、血管の専門の先生を探して、できるだけ早く手術してもらえるようお願いしてきます。いいですか」

(お、おう……。)
 
 わたしはショックで言葉もなく、こくりと頷くことしかできませんでした。
 
 塗ったばかりの消毒液を拭き取り、心電図も点滴も外し、ストレッチャーに乗せられて手術室を出たのです。わたしはこれからどうなるのでしょう……。
 
 
 あら、ちょっと長くなってしまいました。続きは第二章

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