がん治療

抗がん剤と女性の毛髪 ー「激安医療用ウィッグ.com」裏話ー

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前回、サイト制作の報告をさせていただきましたが、ちょっとその裏話など。

抗がん剤を使うと髪の毛が抜けてしまう副作用があるというのは、ドラマや体験された患者さんによって広く一般に知られています。ですが、わたしの場合はちょっと違いました。手術中に卵巣がんとわかって、しかも腹膜播種を起こしていたので、すぐにお腹は閉じられ、抗がん剤が効いたら再手術ができるくらいまでがんが小さくなるかもしれない。抗がん剤が効いてくれることを祈りましょうと主治医に言われてから、再手術後再発と、2016年3月から2018年5月まで、TC療法40回、イリノテカン5回、計45回の抗がん剤投与をしましたが、髪の毛は抜けていませんでした。普通に美容院に行って髪を切り、トリートメントタイプの白髪染めで髪を黒く染めていました。

わたしのサイトを見てくださった方はわかると思うのですが、TC療法で使うパクリタキセルもカルボプラチンも脱毛の副作用が起きやすい薬です。イリノテカンに薬が変わったときには主治医から「ハゲるよ」と言われたので、わたしは美容院に行って限りなく坊主に近い刈り上げ頭にして、脱毛に備えたのに、ハゲるどころかふつうに髪が伸びてきました。

もともとわたしは、身なりに無頓着なほうで、一般女性の髪形が年齢に関係なくみなさんきれいに整えられて美しいものなのだと気づいたのは、自分が抗がん剤によって完全に脱毛し、医療用ウィッグをつけるようになってからなのです。

若い方はカラーリングやトリートメントでさらさらつやつやの髪、年配の方はパーマやカットですっきりとまとまったヘアスタイルと、みなさん、髪にすごく気を使ってらっしゃるのがようやくわかりました。

その日、わたしはいつものように婦人科外来の待合で、ボーっとやる気のない幽霊のように座っていました。副作用と母の介護に疲れ果てていて、ストレスの塊のようになりながら、それでも次の入院治療に期待して、受付番号がモニターに出るのをひたすら待っていました。そのときに、ある患者さんから声をかけられました。

その方とは、前回の入院化学療法のときに病室が同じで、少しご挨拶をしたのです。同部屋で同じTC療法のメニューで、主治医が一緒でしたので、お互いなんとなく察しがついたので、その方の方から退院の日に声をかけてくださって、少しお話をしたのでした。

その方はKさんと言います。Kさんは、ご年齢よりずっとお若く、髪もきれいに揃えて、栗色に染めてらっしゃったので、どうやってるんですかと伺ったのが最初だったと思います。

婦人科の待合で声をかけられた幽霊は、わたしより倍も化学療法をこなしているのに、わたしよりもずっとご年配なのに、明るく、生き生きとお話しされるKさんがまぶしくて、うなだれたまま闇夜を探しました。でも、Kさんにはわたしよりもっと深く悲しい闇があったことをわたしに話してくださいました。Kさんの話を聞きながら、わたしは涙が止まらなくなり、待合の椅子で号泣してしまいました。でも、Kさんはご自身の闇を抱えながら、わたしを日向に連れ出してくれた恩人になりました。首をうなだれてやる気のない幽霊は、人間として生きる勇気をもらったのです。

ただ、その日の診察中もわたしの涙が止まらなくなってしまったので、主治医と会話ができなくなってしまい

主治医「女性は他の人のことを自分のこととして感じる心が強いからね」

と、言われました。

そのKさんから白髪染めのやり方を教えていただいて、だんだんわたしは母がデイサービスに行った昼間、外に出ることができるようになり、できそこないの幽霊から卒業できたのです。

Kさんは、ご自身で髪をすごくきれいにしてらっしゃったのとご主人のがん闘病経験もあって、脱毛の副作用を気にしていらして、化学療法のたびに髪が抜けるのではないかと心配してらっしゃいました。入院のタイミングも合っていたのでお部屋に遊びに行ったり親しくしていただいたのですが、イリノテカンに薬が変わることになり、脱毛が始まってからはどんどん表情に陰りを帯びるようになってしまいました。

Kさんは、フルオーダーメイドの医療用ウィッグを2つと毛付き帽子(帽子ウィッグ)を併用していました。ウィッグはとても良く似合っていたのですが、やはり脱毛の副作用は悲しそうでした。

Kさん以外にも、ウィッグを利用していらっしゃる患者さんとお話する機会があったのですが、正直あまり話したくない様子でした。ウイッグだということが他人にわかってしまうのがつらかったのかもしれません。それだけ女性にとって非常にデリケートな問題なのだと学びました。

そうです。このサイトはKさんへの感謝の気持ちから作りました。

わたしも2018年の6月に、抗がん剤の量を増やしたところ3日で完全に脱毛した経験があって、ウィッグを3つも買ってしまいました(お安いのですのよ)。今は髪も伸びて美容院でカットしてもらっていますが、相変わらず化学療法は続けています。それで、ここのブログに医療用ウイッグのことを何度か書こうと思ったのですが、わたしは更新が遅い! パラパラ書いてると読みにくい! じゃあサイトを作ろう! と、ひとつにまとめたわけです。

こういうサイトを作ると、広告を貼ってマネタイズ、とか考えそうですけれど、いたしません。

Google AdSense なんか審査にも出していません。それは、なんちゃってがん免疫療法のクリニックとか、胡散臭い広告を出したくないのです。この趣旨をご理解いただけるスポンサー様の広告契約でしたら大歓迎いたしますので、お問い合わせフォームからご連絡ください(嘘です)。商品リンク貼ってるから、まあ売れればいいかな。

https://medical-wigs.com

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